こんにちは、Bankerです。
2019卒新卒採用もようやく落ち着いて来ました。今年もBankerは就活コミュニティをコツコツ運営してきました。今年は関西にも何度も足を運び、計750名を超える19卒の学生さんと個別の就活面談を重ねて参りました。
2019卒就活生の面談から見えた傾向と、今後の銀行・金融機関の採用について、20卒以降の学生様のため、金融機関の採用関係者のために備忘録を残したいと思い、この記事を書きますので、興味のある方はご一読ください。
もくじ
Banker19卒採用の総括
今年も多くの学生さんから内定を取りましたとの連絡をいただきました。Bankerを利用してくれていた19卒学生の内定先一覧は以下になります。個別でお会いした学生さんのうち、銀行の内定者数は67名、その他証券や生損保、カード、リース、アセマネなどの金融機関の内定者は40名ほどになりました。
各銀行で採用数を大きく削減する流れは見られたものの、総合職だけで見るとメガバンクはさほど採用数を減らしてはいないようですね。一般事務職が全体の内定者数を大きく減らしているみたいです。19卒は全体的に学生さんの傾向として、ブラック企業に就職したくないという思考の学生さんが大幅に増えたように感じました。
19卒内定先一覧
リクルート/三菱重工/三菱UFJ信託銀行/フジテレビ/東京海上日動/日東電工(経営企画)/NTTデータ/オリックス/三井住友信託銀行/ブルボン/キリン/ハウス食品/BNPパリバ/野村證券(グローバルマーケット部門)/JCB/日本生命(ITコース)/AIG生命/大塚商会/NTTファイナンス/凸版印刷/三井住友銀行/RICOH/三菱電機/三菱商事トレーディング/パナソニック/アクセンチュア/ジョンソン&ジョンソン/三菱UFJ銀行/三井住友カード/あおぞら銀行/KDDI/大日本印刷/野村不動産/丸紅/みずほ銀行/芙蓉総合リース、SMS/大阪ガス/横川電機/千葉銀行/大和証券/豊田通商/ゆうちょ銀行/損保ジャパン/AIG/タカラベルモント/日本政策金融公庫/三井住友海上/楽天/三井物産/農林中金/野村證券/ベネッセ/ジブラルタ生命(IT部門)/りそな銀行/あいおいニッセイ/ポッカ/サッポロ/京王電鉄/NTTコミュニケーション/エムスリーキャリア/積水ハウス/JR東海/日本電産/大東建託/パーソルキャリア/三井生命/野村アセットマネジメント/NTTドコモ、NTTコムウェア/シマノ/損保ジャパン日本興亜ひまわり/アフラック/ニッセイアセットマネジメント/あいおいニッセイ/新日鐵住金/第一生命/東急電鉄/明治/JFE商事/トヨタファイナンス/コクヨ/エレコム/KONAMI/京セラコミュニケーションシステム/リンクアンドモチベーション/コーセーetc…
銀行の19卒採用に関して
銀行の採用に関しては、19卒の就活解禁の時から騒がれていました。各メガバンクが今後従業員を大幅に減らすため採用数も半減すると発表したのです。19卒の内定者人数に関しては正式な発表はありませんが、各メガバンクが一般職を中心に採用予定人数を削減し、メガバンク3社合計で900人近く採用数を削減したとのことです。上述したように総合職に関しては、前年の採用数と比較しても大きく乖離は無さそうな印象です。
『求む「みずほをぶっ壊す人」-自己否定からの変革、採用様変わり』のbloombergの記事にもあるように、19卒の各メガバンクの採用はこれまでとは違う人材を採用しようと必死だったようです。STEM人材{「Science」(科学)、「Technology」(技術)、「Engineering 」(工学)、「Mathematics」(数学)}の採用は特に注力しているようですね。
また、記事によるとこれまでは「チームワーク力」「状況判断力」「問題解決力」の評価の高い方を採用している傾向にあったが、19卒の内定者は「創造的思考力」「状況適応力」「プレッシャーへの耐力」の資質が高い学生を取れたともあります。
これについて実際にメガバンクで採用をしている友人に話を聞いたところ、19卒採用に関して、18卒以前の採用と大幅に変わっているイメージはないかな、と言っていました。実際に毎年、理系大学院や海外大学出身の優秀層は取っているので、そこの比率が少し増えた程度に過ぎないとのことでした。
銀行の就活人気ランキング低下
銀行の就活人気は徐々に落ちてきています。そもそも銀行の就活人気はこれまで「地方就職での圧倒的な地位」「採用数の多さ」の2点に支えられてきたのではないかとBankerは考えています。しかしここがまさに揺らぎ始めているのが、就職人気ランキングを落としている原因ではないでしょうか。
地方就職での銀行員の地位低迷
地方での就職を望む学生さんにとっては、地元で就職しようと思った時に親に喜ばれる職業は「公務員」か「銀行員」だと思います。いまだに地方に行けば、銀行員になれば安泰だと思っている親世代は非常に多いです。しかし、最近はメディアにも銀行業界の転換期がきていると騒がれだし、金融業界にも様々な新興企業が乗り出してきて、地方銀行も自分のエリアだけを守りながら商売をするのには限界が出始めていることが知れ渡ってきました。
地銀同士の競争も激しく、スルガ銀行のように色を出しながら収益を追い求めすぎなければいけない状況にまで追いやられています。地銀同士の合併の話も増えてきており、今後もこの流れが増加していくことは容易に想像できます。
このような状況は、銀行員としての仕事もつまらなくしてしまいます。銀行員として融資をしたいけれど、最近のマーケットでは、融資ではなかなか儲からない銀行は、営業マンが運用商品や保険などをゴリゴリ売って手数料を稼ぐ流れも増えており、そのつまらなそうな仕事に就活生も銀行員になりたくないと思ってしまうのでしょう。
採用数の減少
何度も言っておりますが、銀行全体で採用数を減らしております。特に一般職の採用数はかなり減っているため、滑り止めで銀行などを志望していた女子学生の人気が落ちています。キャリタスの2019卒就活人気ランキングによると、女子学生は三菱東京UFJ銀行が2位→5位、三井住友銀行が8位→17位、みずほ銀行が1位→24位と大幅に順位を落としております。
採用数を減らすこと自体は、銀行としてはもちろんやらないといけないことですが、これまでの「銀行採用=大量採用」というイメージが崩れることで、皮肉にも採用数を減らすことが、そのまま銀行人気をも減らしてしまっていることでしょう。そのため「総合商社=商売人集団」のような別のイメージを早期に植え付けて、新しい銀行の採用の形を模索していく必要はあります。
20卒の銀行の採用はどう変わるのか
採用数という意味では19卒と大きな変化は無いと思います。一般職で新卒採用数を絞り、総合職の採用数は19卒同様で変わらないかと思います。ただ、メガバンクはSTEM人材のような理系院生や海外大学出身者の採用割合を引き続き増やしていく可能性はあります。
文系であってもITリテラシーは高いに越したことはないので、ITベンチャー企業でのインターンやプログラミングなども学べるのであれば勉強しておくことは銀行就活においても有利になってくる可能性はあります。銀行員になって営業をしていても、お客さんとIT周りの話ができたり、最近のIT技術やITベンチャーの動向などを知っていることはお客さんにとっても嬉しいことだと思うので、ぜひ勉強しておきましょう。また、語学力が高いことも武器にはなりますので、語学の勉強もできる方はやっておくと良いでしょう。
銀行は鎖国をやめるべき、という提言
銀行はビジネスも採用活動も大きな転換期にきていることは間違い無いでしょう。Bankerは多くの銀行就職したい学生さんや、現役銀行員や元銀行員に会ってきた中で、銀行の鎖国とも言える閉鎖的な文化を改善していくことが、新しい銀行の時代を作っていけるのでは、、と考えております。もし銀行の人事担当者がこの記事を読んでいるのなら、より良い銀行をつくるためにも少しだけ参考にしていただけると幸いです。
社員のSNS利用とアウトプットを容認する
銀行員は新人研修から徹底的にリスクを排除することを学びます。その1つがSNSの利用の規制です。銀行員はインサイダー情報も多く取り扱い、社員一人一人のトラブルがマスコミの格好のターゲットになります。SNSはトラブルを起こす1つの要因でもあり、銀行側は早い段階からSNSなどは基本的に使わないように指導することも多いです。実際に私の周りの銀行員の人たちもSNSを利用しない人が多いです。
ただ、他の業界に目を向けるとどうでしょう。今やいろんな業界の人たちが、SNSでビジネスの情報発信をして、ネットワークを広げたり、様々な意見交換をSNS上で繰り広げています。時には炎上してしまい大きなトラブルになっていることもありますが、そのリスクよりも、SNSのアウトプットから得られる他の業界の人からの改善提案や意見には銀行をさらに良い方向に導くメリットの方が大きいと私たちは考えます。
SNSを規制する教育ではなく、SNSと上手く付き合っていく教育を従業員にしてみてはどうでしょうか。SNSでの情報発信の上手い人たちは、社名よりも個人名の方が売れている人たちも多くいます。そういう方たちがさらにその方の所属している企業の価値を高めているようにも思います。銀行業界においてはどうでしょうか。一部のメディアに出るアナリストはもちろんいますが、アナリスト以外ももっと情報発信して有名になる銀行員がいても良いのでは無いでしょうか。
他業界との研修連携などもした方がいい
銀行は特殊な業界です。社員研修もとてもお金がかかっており、個別にカスタマイズされた素晴らしい研修も多いです。しかし、あまりにも周りの業界に無知な銀行員も多いです。そんな銀行員が世の中の企業をより良くする提案ができるのでしょうか。上司に言われたことをただ黙ってやっているだけの時代は終わりを告げています。
いつまでも鎖国を続けているのではなく、他の業界の社員と一緒に参加するような研修も作り上げていくことで、より銀行で働いていることへのエンゲージメントを高めていけるのではないでしょうか。
銀行員のITリテラシーは極めて低い
銀行員はITリテラシーが極めて低い人が多いです。社外向け資料も全て本部で作ってもらったり、社外メールすら情報漏洩を恐れて基本的には上司の承認がないとメールを送れないようになっていたりします。そんな環境下でITリテラシーを高めろというのも難しい話ではありますが、あまりにも知識が無さすぎます。
今後金融とITは切っても切り離せなくなる中で、ITの知識が全くない銀行員を多く抱えている銀行が大きくなるとは到底思えません。最低限のIT教育を早い段階から行なっていくことで、ITへの興味も養え、今後銀行の中でも社内ベンチャーのようなFintech企業が出る土壌を整えていくのは面白いのではないでしょうか。
稚拙な提言ではありますが、日本の銀行が終わったと言われる時代はきて欲しく無いものです。銀行員がなにをやっているかよくわからないと言われるのではなく、銀行員こそがかっこいい仕事をしているという時代を創ることを祈っております。