市場部門(ディーラー)って?
ディーラー業務についてはFX(外貨取引)などをしたことある方は何となく知っているかもしれません。基本的には外貨や債券、株などを売買して利益を稼ぐ人たちです。扱う商品や会社によっては「トレーダー」と呼ばれている場合もあります。
またディーラーにはおおまかに二つの種類があります。一つはお客様より売買のオーダーを受けて、売買取引の仲介を行う「カスタマーディーラー」と呼ばれるものです。そしてもう一つがみなさんのイメージする、自己責任で売買をして利益を稼ぎにいく「(自己)ディーラー」と呼ばれているものです。この記事では「(自己)ディーラー」を中心に説明をしていきます。
市場部門(ディーラー)の仕事
ディーラーは基本的には社内から一歩も出ません。常にディーリングルームと呼ばれるところで3~5画面ほどあるパソコンとにらめっこをしながら売買取引をしています。市場が大きく動いている時には朝ごはん、お昼ごはんも一歩も動かず、自分の机で食べている人もいます。常にマーケットを見てチャンスがあれば取引を行って利益を出したいといったところです。
ここでいう利益を出すというのは「安く買って、高く売る」ただそれだけなのですが、「言うは易く行うは難し」。実際に稼ぎ続けるには常に勉強し、常に新しい情報に対してアンテナを高く張り、冷静且つ大胆に取引を行う必要があります。
またディーラーの人は銀行には珍しくシフト制の場合が多いです。例えば朝7時出社に出社して、夜19時に帰る人もいれば、夜22時出社、朝9時退社の人もいるといった具合です。理由はマーケットとは世界中のどこかで常に動いているからです。日本のマーケットが閉じているときもロンドンやニューヨークでは当たり前のようにマーケットは開いています。会社として常に誰かが世界のマーケットに参加している必要があるので、シフト制になっているのです。
ディーラーの給料って他の部署と違うの?
会社にもよりますが基本的には違います。ディーラーとは自己責任で会社に大きな利益を生むこともあれば大きな損を出す場合もあります。利益を出し続けられるトップディーラーの人は業界的に重宝されヘッドハンティングの対象となります。
その為、優秀なディーラーを引き留めておく為に一般的な総合職に比べ歩合部分大きく上乗せされていたりします。ちなみにメガバンクのディーラーだと役職にもよりますが、活躍している方で1500万円~2000万円。外資金融機関の優秀なディーラーだと5000万円~1億円を超えたりします。ただメガバンクであれば活躍出来なかった場合は部署異動で済みますが、外資なら普通にクビになります。私の知人でメガバンクから外資金融機関のディーラーになった人は半年でクビになっていました(笑)
ハイリスク・ハイリターンそのものですね。
ディーラーの仕事の大変さと楽しさ
書いてきたようにディーラーは「全てが自己責任」なのでこの部分が一番大変かもしれません。一方で銀行のような大企業の中で「全てが自己責任」の部門なんてディーラーくらいしかありません。若手でも数億円~数百億円の売買を自己責任で扱います。この「全てが自己責任」がディーラーの楽しさ・魅力と言う人もたくさんいます。またメガバンクの利益の約30%が市場部門(ディーラー)から生み出される利益です。まさに少数精鋭。ここに誇りを持って仕事をしている人も多いです。
その為、ディーラーは銀行の中でも「花形」の仕事の一つで人気があります。しかし、ディーラーになる人は元々学生時代からディーラーとして活躍していました!みたいな人はほとんどいません。基本的には自ら手を挙げて初心者でもチャレンジをして、もちろん失敗もしながらディーラーとして成長していくものです。ある意味自己成長を数字で表しながら大きく感じられる部門かもしれません。
ちなみに就活でディーラー志望です!って言う学生もたまにいますが、志望動機を作るのが非常に難しいのと、人とコミュニケーションを取るのが苦手なのか?と変に疑われるため、安易に言わないことが得策だと思います(笑)
私の知り合いで就活中にディーラー志望と言った学生は、面接の中で「北朝鮮がテポドンを発射したら、◯◯株式会社の株価はどう動くか」と質問されている人もいました。その方は、それに綺麗に答えて、現在はメガバンクで無事にディーラーをやっています。是非みなさんもディーラー目指して頑張って下さい。