FinTech(フィンテック)で銀行員の今後はどうなるか?

FinTechで銀行は消えるのか?

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学生の方から以下のような質問をよく受けるので共有します。

銀行を志望しているのですが、人工知能とかの発展によって、今後銀行がなくなるとか、銀行員がリストラされるとか言われてると思うんですけど、実際どう思いますか?

この手の質問に対する専門家の意見はいくらでもあるのでそちらを見る方が良いかもしれませんが、学生がこれから銀行に就職するにあたって、不安な問題ではあると思うので、実際に銀行員として働いてきたこともあるBankerとしての現段階の意見を書いてみます。

そもそもFinTechってなに?

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FinTechはFinance(金融) x Technologyの事で、FinTech以外にもHR Tech(人事採用)、EdTech(教育)、MediTech(医療)、HealthTech(ヘルスケア)、RETech(不動産)、、、etc と色々出てきています。要するに金融業界に関わらず、今色んな業界にITの技術を用いて革新を起こしていく流れが起きています。

その中でFinTechは、世界的な市場の大きさと生活へのインパクトの大きさから注目度が高いとは思いますが、実際にFinTechでどのようなことができるようになるのかと言われているかというと、皆さんの分かりやすいところだと、以下のようなものです。

・クレジットカードが一枚にまとまる

・指紋認証で決済をすればいいようになる

・Lineとかで友人にお金を送れるようになる

その他にも投資・保険・資金調達などもクラウド上で出来たりと、生活や仕事の中で、お金の絡むめんどくさい出来事すべてが便利になります。銀行の三大業務は、「預金」「融資」「為替」ですが、これらの業務に関してもFinTechベンチャーによって、取って代わられてしまうのです。

もし興味ある方は国内外に、FinTech企業が無数にあるので調べてみてください。

日本版Fintech(フィンテック)ベンチャー業界マップ_20160112

引用元:http://www.emreyuasa.com/2016/01/137/

bii-the fintech ecosystem

引用元:http://www.businessinsider.com/fintech-ecosystem-financial-technology-report-and-data-2016-4-2

FinTechで銀行がなくなるのか?

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銀行はなくなりません。というのがBankerの意見です。

多くの企業が出しているレポートを見てもわかりますが、FinTechベンチャーと銀行は共存していく必要があります。日本の銀行も最近はFinTechベンチャーにも積極的に投資していますしね。血が繋がった兄弟みたいなものです。銀行がFinTechベンチャーとともに形を変えながら、生き残っていくことは間違いありません

ただし、オックスフォード大学の教授が発表した論文の中で、将来消える職業に銀行の融資担当者が含まれています。銀行は残ると思いますが、融資担当者に関しては消えてしまう可能性はあるかもしれないですね。UFJ銀行も今後10年間かけて3500人総合職を減らしていくと発表しておりますし、融資担当者だけではなく、事務の仕事に関しても単純作業なので、どんどんAIなどに取って替わられてしまうかもしれません。そもそも全部ネットで完結してしまえば、銀行の窓口等も無くなるかもしれませんね。

銀行員としてAIに勝つためにどうするのか?

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シンプルですが、AIにできないことをすればクビにはなりません

消えると言われている法人営業の融資担当者を例にとって考えてみましょう。今の銀行の融資のやり方は、お客様から決算書などの財務データをもらって、分析し、格付けを出し、どれぐらいの金利で貸せるのかを算出して、融資をしています。シンプルな融資案件であっても、この工程に大体数日から二週間程度かかります。しかしFinTechが発展すれば、こんなものは即日、もしくは数秒でできるようになるかもしれません。

このような状況の中、分析力を上げるために様々な分析手法の計算式を覚えたりしていると、計算でAIに勝つことは不可能なので、あなたの融資担当者としての仕事はAIに取って代わられることでしょう。AIに負けないためには、金利競争やスピードで争うのではなく、もっとお客様の話を聞くことに注力することが大事です。

・お客様同士を引き合わせて(ビジネスマッチング)をして企業の売り上げを上げる手伝いをすることはできないか?

・お客様のビジネスに新しい仕組みを提案できないか?

AIは大量のビッグデータの中から確率を割り出し、意思決定をするのは得意ですが、前例のないことを閃いたりすることは不得意と言われているので、銀行の持つネットワークや情報から新しい仕組みやつながりを作ってあげることが今後のあなたの付加価値になっていくでしょう。

ビジネスの世界では、当たり前が通用しないことが多々あります。私自身、銀行で営業をしていた時も、他行より1%金利が高くてもお金を借りてくれるお客様がいました。その社長は起業して間もない時(40年ぐらい前)、どの銀行もお金を貸してくれなかったが、旧〇〇銀行の支店長だけが、起業した当時の社長の若さに期待して2,000万円を貸してくれたことで、売り上げ数十億円という会社にすることができたそうです。その旧〇〇銀行が、合併を繰り返し名前は変わっていましたが私の在籍していたメガバンクでした。社長は現在でも私のいたメガバンク以外の銀行とは取引をしませんし、私のいたメガバンクの支店の方向には足を向けて寝ないそうです。

ボタン一つ押せば、一番安い金利を出してくれる銀行をAIが教えてくれて、即日融資をしてくれる世界になったとしても、あなたに頼めば金利は1%ぐらい高いけど困った時にお願いを聞いてくれたり、いつも斬新で的確なアドバイスをくれたりしてくれるならば私はそういう人とビジネスがしたいです。また、過去に迷惑をかけられた銀行ならば、たとえAIがこの銀行と取引した方がいいと提案してきてもそんな銀行は信用がないので取引はしないです。

融資担当者であろうと、テラーであろうと、事務であろうと、ディーラーであろうと、むしろ銀行以外の業界であろうと、先ほどの支店長のように、周りの人やAIが貸せないと判断しても、将来性やビジネスの新規性を見込んで、今は儲からないかもしれないけど動いてくれて、将来的に一緒に大きなビジネスを生み出せる力を身につけると良いビジネスマンになれるかと思います。

話は横道に逸れましたが、FinTechが台頭した要因やら研究者の意見やらは、ググればいくらでも色んな企業が出したレポートが見れますので、銀行や銀行員が今後どうなるのか、もっと詳しく知りたい方は自分で調べてみてくださいね。

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