融資審査部って?
融資審査部とは文字の通り、融資案件を審査する部署です。銀行の担当者が攻めだとすると、それにブレーキをかける役割です。銀行では基本的には融資審査部がOKの認可を出さないと融資が実行出来ません。ここが金融機関特有の仕組みです。一般企業であれば、もし営業マンが営業して商品が売れるとなれば、社内的にそこまで止める必要はありません。
しかし、これが銀行の場合だと、営業マンが営業をして融資(お金を貸す)の案件を獲得してきても、その貸すお金自体は皆さんが預けている預金などが元手になっているので、簡単にはOKは出来ないのです。本当は返せる目処など無いのに、銀行を騙してお金を借りようとしてくる企業などもあったり、担当者が自分の成績のためだけに強引にお金を貸してしまう場合もあったりするので、その為に融資審査部というブレーキ役が同じ銀行内で機能しているんです。
仕事については学生の方や一般の方にはイメージがないかもしれません。いわゆる「銀行の本部」であり、ほとんど一般のお客様との接点はありません。半沢直樹などでも少し出てきたのですが、実際にどんな毎日を過ごしているのかイメージしづらいと思うので、融資審査部の仕事について説明します。
融資審査部の仕事
融資審査部の仕事は普段、本部と言われる銀行の中で行います。イメージがしにくいと思うので、よくある審査部との仕事の流れを書いてみました。
<場所:支店>
担当者「A社に○億円を貸したいのです!いかがでしょうか!?」
ー上司「A社か~。最近は業績も落ちてきているからな。融資審査部がOK出してくれるか分からないぞ?」
担当者「融資審査部にGOサインを出させるのが担当者の仕事です!チャレンジさせて下さい!」
ー上司「分かった!そこまで言うなら一緒に頑張ってみよう!まずは今日中に稟議を作って融資審査部に送るんだ!」
担当者「分かりました!」
まずは融資をする為に「稟議(融資する為に作る社内資料)」というものを担当者が作成をします。これを上司に見てもらい、OKが出たら融資審査部に送ります。
<場所:銀行本部(融資審査部)>
審査官「お、○○支店から案件が来ているな。どれどれ。。。。。。」
審査官「このA社は業績が落ちているな~。決算の数字もいくつか不明点がある。ちょっと確認をしよう。」
~担当者へ電話~
審査官「担当者さんですか?先日送っていただいたA社の案件ですが、2点ほど不明点があります。今から質問するので教えてください。」
~案件詳細を電話で確認~
審査官「なるほど分かりました。それでは○○の部分と、△△の部分は分からないということですね?審査部としてもそこの部分を明確にするまでは融資に認可を出すことが出来ません。お客さんから資料を追加で提出してもらって下さい。そこを確認してから再度、判断します。それでは宜しくお願いします」
<場所:支店>
担当者「融資審査部から連絡ありました!○○の件と△△について確認しろ!とのことでした!」
ー上司「やっぱり突っ込まれたか~。仕方ない、A社の社長にアポを入れて資料提出の依頼をしてこい!もし先方が難色を示すようなら俺も行く!」
担当者「分かりました!ありがとうございます!」
上記の様な流れのやりとりを多くの支店の担当者と毎日のように行っているのが融資審査部です。融資については最終的には融資審査部の認可が下りないと案件が実行出来ません。上記で出した例であれば、融資審査部が納得出来るような資料を確認するまでは担当者とやりとりを続けます。もちろん出てきた資料によっては否決されてしまう場合もあります。様々な資料を確認し、「貸せる」と判断が出来れば融資審査部から認可が下ります。
業務は基本的にはパソコンと電話で担当者やその上司と、やりとりをする場合が多いですが、案件次第では融資審査部に支店から直接案件説明に行く場合もありますし、銀行によっては審査部が直接お客様のところに出向いてヒアリングをする場合があります。これは銀行によって若干変わります。
融資審査部の大変さ
融資審査部で一番大変なのは「大きな責任が伴うこと」です。融資の最終判断をする部門なのでもちろん知識や経験はあってあたり前です。それ以上に大変なのが、万が一にも融資した先が倒産して、お金が回収出来なくなった時に大きな責任を負うということです。
銀行は融資している企業が倒産した時は、その融資に関わった人間全てが責任を負います。その責任の中で特に重い部分を負うのが融資審査部です。
しかもその重たい責任を基本的には「稟議」という担当者が送ってきた決算を分析した数字と文字だけで判断しなくてはいけません。あなたも想像してみて下さい。自分の友達何人かをイメージして、「この人には10万円なら貸せる」という人もいれば、「この人にはお金を貸すのはちょっと・・・」という人がいると思います。これは実際にあなたが相手に会って、相手を良く知っているから判断が出来るのです。
では例えば、全く知らない人の履歴書と、この人への推薦文のみであなたは10万円を貸すことが出来るかどうかの判断が出来るでしょうか。かなり難しいと思います。むしろ嫌だと思います。これに近い状況で重たい責任を負ってお金を融資するかどうかを判断するのが融資審査部です。こう聞くと何か大変そうですよね?(笑)
以上のようなことから、融資審査部には銀行業務をよく知っているベテラン(30代後半以降)の人達が中心に構成されています。やはり知識と経験が欠かすことが出来ない部門です。
ちなみに就職活動で「融資審査部」で働きたいって言っても、ものすごくウケは悪いと思います。やはり銀行員は若いうちは担当者としてお客さんと上司の両方に怒られながら成長するので、銀行の中から出ない融資審査部に自ら行きたい!と言うのは変わり者だと思われると思います(笑)